【元弁護士が回答】キャバ嬢の確定申告は不要か?それとも必須か?|副業はマイナンバーで会社にバレる?

【元弁護士が回答】キャバ嬢の確定申告は不要か?それとも必須か?|副業はマイナンバーで会社にバレる?

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今回のテーマは「キャバ嬢 確定申告」です。

キャバクラに勤めておられる方は「確定申告、した方がいいの?しなくていいの?」という疑問を持っていることが多いでしょう。

ネットなどで調べても、

  • キャバ嬢は確定申告しなくて良い
  • 年収1,000万円くらいを超えたら確定申告した方が良い
  • マイナンバーでバレ

など、いろいろな憶測がまことしやかにささやかれているので、混乱状態になってしまった方もおられるかもしれません。

そもそも、確定申告って何?」とよくわからない方もいるでしょう。

今回は、確定申告の基本知識と、キャバ嬢の方が確定申告すべきかどうか、マイナンバーの関係なども含めてわかりやすく解説します。

1.確定申告とは?

キャバ嬢の確定申告は不要か?それとも必須か?|副業はマイナンバーで会社にバレる?

毎年2月頃になるとよく耳にする、確定申告とはどのようなものか、分からない方もたくさんおられるでしょうから、ご説明します。

確定申告は「所得税」の税額を確定させるための手続きです。

税金には、いろいろな種類のものがあります。

たとえば、消費税や不動産取得税、自動車税、住民税、固定資産税など、考えてみたら、身近にいろいろな税金がかかっているはずです。

確定申告は、そうしたいろいろな税金の中でも「所得税」に関する手続きです。

所得税は、何らかの「利益」を得た場合に発生する税金です。

たとえば、働いて給料をもらった場合、仕事をして報酬をもらった場合、株式取引や仮想通貨取引、不動産の転売などによって利益が出た場合など、いろいろな利益があります。

このような「利益」のことを「所得」と言い、所得を得た場合には、その一部を「所得税」として、国に収めなければなりません

ただ、国民の11人がどのくらいの「所得(利益)」を得たのか、国の方ですべて調べて把握することは困難です。

そこで、国民の方から「確定申告」することにより、自分の所得を国(税務署)に知らせて所得税の金額を確定しているのです。

確定申告によって決まった所得税は、期限内にきちんと支払わなければなりません。

2.源泉徴収って何?給与所得者はなぜ確定申告しないのか?

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ただ、副業でキャバ嬢をしている方の場合、会社の給料については確定申告していないことが普通です。すると、「給与所得があるのになぜ申告しなくて良いのか?」と疑問に思うことがあるかもしれません。

また「会社でもらっている給与明細から『源泉所得税』が引かれている。これって一体何?」と疑問を感じている方もあるでしょう。

以下では、「源泉所得税」のことと、会社員が確定申告しなくて良い理由を説明します。

2-1.源泉所得税とは

源泉所得税というのは、給料などの支払い義務者が、支払いをする際に一定額を控除する税金です。

源泉所得税を差し引くことを「源泉徴収」と言います。源泉徴収しなければならないケースと源泉徴収の割合は、税務署によって決められています。

会社が従業員に給料を支払う場合には、会社には「源泉徴収」しなければならない義務があるとされているので、副業でキャバクラをしている方は、会社の給料から「源泉徴収」されているのです。

2-2.源泉所得税は、会社が税務署に支払っている

そうだとすると、次に疑問に思うのは、「会社は、給料から差し引いた源泉所得税を、どうしているのか?」ということではないでしょうか?

実は、会社が源泉徴収した「源泉所得税」は、会社が税務署に支払っています。

つまり、源泉徴収される場合、会社が従業員の代わりに所得税を支払ってくれているので、従業員は、自分で所得税を計算して税務署に支払う必要がないのです。

2-3.年末調整とは何か

このように、給与所得者(サラリーマンやOLなど)の場合、勤務先が源泉徴収してくれているとしても、毎月の源泉徴収額は「概算」です。実際に納税が必要となる金額は、年度が終わって確定的に計算しないと明らかになりません。

それであれば、会社員であっても、やはり年度が終了したら、税額を確定させるために、確定申告しなければならないとも思えます。

しかし、実際には確定申告していない会社員がほとんどです。なぜ、確定申告しなくて良いのでしょうか?

それには「年末調整」という制度が影響しています。

年末調整とは、年度末において、事業者(給与の支払い義務者)が従業員ごとの本来の所得税を計算し、これまで徴収した源泉徴収額との間で差額を精算することです。

会社は、1月から12月までの1年の間、概算で源泉徴収をしてきたはずですが、12月が終わると、所得が確定するので、源泉徴収をしすぎたのか、あるいは足りないのかを明確に計算できます。

そこで、年度が終了すると、過不足を計算し、源泉徴収額が足りなければ12月の給料から多めに税金額を徴収し、反対に源泉徴収額が多くなりすぎていれば、12月の給料に還付して支払いすぎのお金を返還するのです。

このように、会社員の場合には、最終的に会社が源泉徴収を行って税金額を確定し、税務署とのやり取りもすべて行ってくれているので、自分で確定申告する必要はないのです。

3.確定申告が必要なケースとは?

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それでは、キャバ嬢が確定申告しなければならないケースとは、どのような場合なのでしょうか?

以下で、順番に見ていきましょう。

3-1.年間収入が2,000万円を超える給与所得者

会社員などの給与所得者の場合、基本的に確定申告する必要はありませんが、年間の給与収入金額が2,000万円を超えている場合には、確定申告しなければなりません。

3-2.給料以外の収入が20万円を超える給与所得者

本業は正社員で、給与をもらって生活しているけれども、雑所得などによって年間20万円を超える収益を上げている方も、確定申告が必要です。

副業のキャバ嬢であっても、キャバクラの収入が年間20万円を超えていたら、確定申告しなければなりません。

3-32か所以上から給与をもらっている人

給与所得者であっても、2つ以上の場所で働いているときには、本業の会社では年末調整できますが、副業の会社では年末調整できません。そこで、基本的に確定申告が必要となります。

3-4.年金などの雑所得のみの人

キャバ嬢とはあまり関係がありませんが、一定以上(基本的に400万円を超えるケース)の年金収入がある方の場合にも、確定申告が必要となります。

また、20万円を超える年金以外の所得がある場合にも確定申告が必要です。

3-5.源泉徴収されない退職所得がある人

たとえば、海外企業を退職して退職金を受け取った場合などには、源泉徴収されないことがあるので、確定申告が必要となります。

3-6.個人事業者

自営業者(個人事業者)など、給与所得者ではない方の場合、勤務先が源泉徴収をして所得税を払ってくれることがありません。

そこで、自分で税額を計算して、税務署に納めるために、確定申告が必要です。

実は、ほとんどのキャバ嬢の方(特に専業のキャバ嬢の方)は、ここに分類されます。

キャバ嬢の場合、「給与」ではなく「報酬」などの形でお店からお金を支払ってもらっていることが多いからです。その場合には、「個人事業者」と同じ扱いになるので、確定申告の必要があります。

給与所得者の場合には会社が源泉徴収して年末調整しますが、そうではない「報酬」の場合には、そうした調整は行われないからです。

ただし、個人事業者の場合には、交通費や交際費、通信費、美容院代やドレス代などを、経費として算入することも可能です。

多くの経費を算入すると、源泉徴収された税金が過払いとなり、確定申告によって還付を受けられる可能性もあります。

3-7.源泉徴収されていないケース

キャバクラによっては、お店できちんと源泉徴収されていない場合がありますが、そのようなケースであっても、キャバ嬢は、自分の所得をきちんと申告して、必要な所得税を支払わなければなりません。

申告をしなければ「不申告」「脱税」になってしまう可能性もあるので、注意が必要です。

4.確定申告でお金が返ってくるケースとは

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ここまで、確定申告によって税金を支払う話ばかりしてきましたが、実は、確定申告によってお金が「返ってくる」ケースがあります。

このことを「税金の還付」と言います。

還付を受けられるのは、申告前の1年間において、税金を払いすぎている場合です。

具体的には、以下のようなケースで還付が行われます。

4-1.医療費控除

医療費控除は、1年の間に一定以上の多額の医療費を負担したケースにおいて、税金を控除してもらえる制度です。

たとえば、骨折や大きな病気などをして医療費がかかった年であれば、医療費控除を適用して、税金を還付してもらうことができます。

ただし、医療費控除を適用してもらうためには、確定申告が必要です。申告しないと、税務署の方から気づいてお金を返してくれることはありません。

4-2.損益通算

損益通算とは、他の所得で損失が出た場合に、損失と利益を通算して、所得を計算できる制度のことです。

つまり、会社員などの給与所得者が不動産投資を行い、不動産投資で損失が出た場合には、給与所得と不動産投資の損失を差引計算して、所得を減らすことができるのです。

そうすれば、源泉徴収された所得税が払いすぎの状態になるので、お金を返してもらうことができます。

4-3.寄付金控除

一定の寄付をした場合には、寄付金控除という税金控除を受けることができます。それにより、源泉徴収された税金が過払いになったら、払いすぎた分を返してもらうことができます。

4-4.雑損控除

雑損控除とは、災害や盗難などによって損害を受けたときに、一定金額を所得から差し引ける制度のことです。この控除を適用してもらうためにも、確定申告が必要です。

5.キャバ嬢の源泉徴収と会社員の源泉徴収は異なる

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ここまでお読みになった方は、「キャバクラでも源泉徴収されているけれど、確定申告が必要なのはなぜか?どうして会社員と違う扱いになるのか?」と疑問を持たれることがあるかもしれません。

実は、給与所得でなくても、源泉徴収が必要になるケースがあるのです。

源泉徴収が必要なケースは税務署によって定められていますが、キャバ嬢などの「報酬」についても、源泉徴収が必要とされています。

そこで、お店はキャバ嬢に支払う給料から源泉徴収しています。

ただし、報酬は給与所得とは異なるので、年末調整は行われません。

キャバ嬢が報酬をもらっている場合、年末や年始に渡される調書も「源泉徴収票」ではなく「支払い調書」となっています。

源泉徴収票と支払い調書は、別の書類です。

このように、キャバ嬢の報酬は給料とは異なるので、毎月お店から源泉徴収されていても、確定申告をしなければならないのです。

6.キャバ嬢は、経費算入によって税金還付を受けられる

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ただ、給料ではなく「報酬」になると、良いこともあります。

それは、確定申告によって、税金の還付を受けられる可能性が非常に高いことです。

というのも、キャバ嬢は「個人事業主」扱いになり、確定申告するときに「経費算入」することが認められるからです。

経費として算入できる費用には、以下のようなものがあります。

  • 衣装代
  • ドレス代
  • コスメ代
  • 美容院代
  • 店から帰る車の代行代
  • お客様へのプレゼント代
  • 車検費用、車の修理費用
  • お客様との飲食代、カラオケ代
  • お客様との連絡用スマホ代、ネット通信費用
  • ドレッサー、ミラー、衣装ケース、パソコン代等
  • 店に行く(店から帰る)タクシー代、ガソリン代、駐車場代

こうしたものをすべて売り上げから差し引いて、所得を少なく抑えることができるので、源泉徴収によって払いすぎた税金を返してもらうことができます。

より多くの税金を還付してもらうため、日頃から、何にどれだけ軽費を使ったかしっかりとつけておいて、確定申告の際には確実にすべての経費を算入しましょう。

【キャバ嬢の確定申告】水商売ならではの経費を科目ごとに記入するには?

7.キャバ嬢で確定申告が必要なケースのまとめ

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キャバ嬢は、ほとんどのケースにおいて、確定申告しなければなりません。

しなくて良いのは「副業でキャバ嬢をしていて、キャバクラの収入が20万円以下の場合」のみです。

専業のキャバ嬢の方、副業でも年間20万円を超えるキャバクラ収入がある方は、確定申告をしないと厳しいペナルティを与えられる可能性があります。

8.キャバ嬢が確定申告する方法

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キャバ嬢の方が確定申告義務を負う場合、具体的にどのような方法で手続きをすれば良いかわからない、という方がおられるでしょう。

そこで以下では、確定申告の具体的な方法をご説明します。

8-1.申告書を作成する

確定申告をするときには、まずは「所得税の申告書」を作成する必要があります。

所得税の申告書とは、所得税を計算して、最終的に確定した所得税の金額を書き込み、納税者が署名(記名)押印をして税務署に提出する書類です。

税務署に定まった様式があるので、それを使って計算しましょう。

国税庁のホームページ上に「確定申告書作成コーナー」があり、ここの書式を利用すると、必要事項を入力していくだけで、最終的な税額を計算できるので、便利です。

外部リンク
https://www.keisan.nta.go.jp/h29/ta_top.htm#bsctrl

8-2216日から315日までに申告と納税をする

確定申告書を作成したら、必ず期限内に申告と納税を済ませることが重要です。

確定申告の期間は、毎年216日から315日までです。その間に、自分の住所地の税務署に行って申告書を提出し、決まった税額を支払う必要があります。

315日は、申告だけではなく納税の期限にもなっているので、注意が必要です。

申告書を提出した際に税金の納付義務があれば、すぐに支払いをしてしまいましょう。

8-3.支払い方法

税金の支払い方法は、いくつかあります。

1つは、税務署で支払う方法です。申告書を提出したら、その場で現金で納入することができます。

また、銀行などの金融機関で納付することも可能です。

税額が100万円未満であれば、クレジットカードで支払うこともできます。

都合の良い方法を利用すると良いでしょう。

9.キャバ嬢が確定申告しないとどうなるの?

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以上のように、キャバ嬢の場合、確定申告しなければならない方がほとんどです。

もしも義務があるのに申告をしなければ、どのような問題があるのでしょうか?

9-1.無申告加算税

無申告加算税は、確定申告の義務があるにもかかわらず、315日までの期限内に申告書を提出しなかった場合に課される税金です。

罰金の性質を持つので、非常に高額になります。

税金の金額が50万円までなら年率15%ですが、50万円以上になると年率20%となります。

無申告加算税が課されるのは、税務署から指摘を受けて確定申告したケースや、最後まで申告をせずに税務署から税額の決定をされたケースです。

315日の期限を超えても、自ら確定申告をした場合には、無申告加算税は課されず、5%などの割合に軽減されることもあります。

9-2.延滞税

確定申告をしたら、315日までに税金を支払わなければなりません。

期限までに支払いをしなかった場合には「延滞税」がかかります。

税率はケースによって異なりますが、7%以上になることもあるので、大きいです。

9-3.滞納処分

税金を支払わないで放置しておくと、税務署から「滞納処分」をされることがあります。滞納処分とは、税金を支払わない人の資産を税務署が差し押さえて換金してしまう手続きです。

税務署から、「税金の支払いをするように」という督促書が届いているのに無視していると、滞納処分によって、預貯金や生命保険、不動産や車、給料などを差し押さえられてしまいます。税務署から連絡があったら、早急に税金を支払う事をお勧めします。

9-4.脱税で刑事事件に発展

脱税は、犯罪行為とされているので、悪質な場合には、警察に逮捕されて刑事裁判になってしまう可能性があります。

脱税の刑罰は、10年以下の懲役刑または1,000万円以下の罰金刑となっていて非常に重いので、絶対にしないようにしましょう。

10.確定申告で、副業がバレるのか?

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キャバ嬢の方の中には、昼間はOLとして働いているけれども、夜は副業として、キャバクラで働いている方がたくさんおられます。

このような場合、確定申告することによって、キャバクラのバイトが会社にバレることがあるのでしょうか?

最近では、確定申告書に「マイナンバー」を書き込むことによって会社に副業がバレるという噂もあり、気になっている方もおられるでしょう。

以下では、確定申告と会社バレについて、ご説明します。

10-1.副業がバレるパターンとは

そもそも、確定申告によって会社に副業がバレることがあるのでしょうか?

確かに、会社にヒミツで副業をしている場合、確定申告をすると会社にバレてしまうことがあります。その理由は、以下のとおりです。

確定申告をすると、所得に応じて「所得税」が発生しますが、それだけではなく、所得の金額に応じて「住民税」も発生します。住民税は、市町村や都道府県に払う税金です。

会社員の場合、住民税を自分で支払うことはほとんどありません。

所得税などと一緒に給料から差し引かれて、会社が納付するからです。

知らなかったという方は、一度会社からもらっている給与明細書を見てみると、控除欄に「住民税」という欄があるので、チェックしてみましょう。

では、会社はどのようにして従業員の住民税を把握しているのでしょうか?

実は、毎年市町村から会社に対し、「住民税を知らせる通知」が送られます。それを見て、会社は個々の従業員の住民税を把握して、毎月均等に給料から差し引いているのです。

住民税の税率は一律で10%ですから、通常は給与所得額の10%程度の金額が連絡されてきます。

しかし、副業をしている会社員が確定申告をすると、副業の分の所得も合わせた金額の10%となるので、住民税の金額が会社の予想外に、かなり大きくなってしまいます。

会社にしてみると、「このように住民税が高額になるということは、どこかで副業をしているのかも知れない」という事になるのです。

そこで、キャバ嬢で多額の収入がある方が確定申告をすると、住民税の通知の際に会社に副業がバレてしまう可能性が高くなります。

ただし、バレるのは「住民税の金額」だけですから、副業していることまではわかっても「キャバクラで働いている」ことまでは明らかになりません。

10-2.副業がバレないための、確定申告方法

それでは、キャバ嬢のバイトをしている場合に確定申告をすると、必ず会社にバレてしまうのでしょうか?

実は、住民税によっても副業がバレない方法があります。それは、住民税を「普通徴収」にする方法です。

会社員などの給与所得者の場合、住民税の支払い方には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。

特別徴収とは、勤務先において、給与から住民税を天引きしてもらい、勤務先から支払ってもらう方法です。

これに対し、普通徴収とは、納税義務者自身が直接市町村に住民税を支払う方法です。

一般の会社員などの場合には、当然に「特別徴収」が選択されているので、市町村から会社に住民税の通知が行われて、会社に副業がバレてしまうのです。

そこで、「普通徴収」を選択して、自分で住民税を支払うことにすれば、会社に対する通知は行われず、会社にバレることがなくなります。

普通徴収を選択するためには、確定申告書を作成する際に「確定申告書第二表」の「普通徴収」の欄をチェックするだけで済みます。

そうすると、その年の6月ころに、市町村役場から自宅宛に「住民税の通知書」と「納付書」が送られてくるので、自分で金融機関などに持参して、住民税を支払えば解決できます。

11.マイナンバーで、副業がバレるのか?

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最近、マイナンバー制度が導入されて、確定申告する際にもマイナンバーの記載が要求されています。

多くの方が「マイナンバー制度」によって副業がバレることがあるのか、心配されているのではないでしょうか?

以下では、マイナンバー制度と、それによる会社バレの可能性について、ご説明します。

11-1.そもそもマイナンバーとは

そもそも、マイナンバー制度とは何なのでしょうか?

これは、国民11人に、12ケタの番号をつけて管理するための制度です。

マイナンバーは、さまざまな目的で利用されることが予定されています。

まず、公平な行政の実現のために利用されます。

このことは、税金にも影響します。税務署や市町村がマイナンバーを確認することにより、個人の所得を正確に把握して、脱税や申告漏れを許さないようにできるのです。

たとえば、キャバクラのお店からキャバ嬢のマイナンバーを提出させておけば、キャバ嬢自身が申告をしなくても、税務署は「この人には所得があるはず」ということを把握できるので、キャバ嬢に税金を課すことができます。

次に、行政の効率化です。従来の行政は「縦割り」なので、年金課と保健課、税金課などがすべて分かれており、相互に連絡ができていないので非常に非効率であることが指摘されてきました。

そこで、それぞれの行政機関が個人のマイナンバーを把握しておくと、どこの部署でもマイナンバーを通じて健康保険や税金、各種の行政による給付の適用状況などを一気に調べることができて、効率的に運用することが可能となります。

さらに、国民の利便性にも役立ちます。たとえば、戸籍謄本や住民票等の取得をするときにも、マイナンバーの提示だけで簡単にできるようになるので、スピーディかつ便利になります。

このように、マイナンバー制度は、基本的に行政対個人の関係で利用されることが予定されている制度です。

その一環として、税金にマイナンバー制度が導入され、確定申告書や源泉徴収票等に枚ナンバーの記載が要求されるようになったのです。

11-2.マイナンバーと会社バレは無関係

それでは、確定申告時にマイナンバーを記載することにより、会社にキャバ嬢のバイトがバレるのでしょうか?

先にも説明した通り、マイナンバー制度は、行政が国民の状況を把握して、よりよい行政サービスを提供したり、確実に税金を取り立てたりするために導入された制度です。

将来的に、もっと社会にマイナンバー制度が浸透してきたら、民間が利用することも考えられますが、少なくとも現時点においては、民間が個人のマイナンバーを利用して情報収集することは想定されていません。

むしろ、法律によってマイナンバーは厳重に保護されています。会社などがマイナンバーを預かるときにも非常に慎重な管理が要求されていて、漏えいは決して許されません。

そこで、確定申告の際に税務署にマイナンバーを記載した確定申告書を提出しても、そのことがきっかけで、会社に副業がバレることはありません。

税務署から会社に個人のマイナンバーやその会社の従業員の所得を知らされることもありませんし、会社がマイナンバーを使って、従業員の所得を紹介することも不可能です。

マイナンバーによって会社に副業がバレる心配はないので、安心して確定申告しましょう。

11-3.マイナンバー制度で、脱税がバレる?

マイナンバーによって会社に副業がバレることがなくても、脱税や不申告が税務署にバレる可能性は高いので、注意が必要です。

キャバ嬢の方は、お店から給料をもらうときに「源泉徴収」されていることが多いです。

先にも説明した通り、キャバ嬢に報酬を支払う場合、お店には源泉徴収義務があるからです。

源泉徴収をしている場合、お店は税務署に「支払調書」という書類を提出します。

この源泉徴収票や支払い調書には、お金を受け取る人のマイナンバーが記載されています。

そこで、支払い調書が提出されている人が申告をしていないと、税務署には「源泉徴収票や支払い調書が提出されているのに、この人は申告をしていない」ということがわかります。

つまり、確定申告していなかったケースにおいて、税務署がマイナンバーを使って情報照会すると「不申告」「脱税」とみなされてしまう可能性があります。

今までは、源泉徴収されていても申告していないキャバ嬢の方も多かったかも知れませんが、これからはマイナンバー制度が適用されるので、きちんと確定申告をしないと危険が高くなります。

1,000万円以下なら申告しなくて良いという噂について

キャバ嬢の確定申告は不要か?それとも必須か?|副業はマイナンバーで会社にバレる?

最後に、ネット上の噂についての説明をして終わります。

ネットなどを見ていると、「普通のキャバ嬢は確定申告しなくてもバレない、ただし1,000万円以上所得があったら申告した方が良い」などという記事が見られます。

しかし、このような噂を鵜呑みにするべきではありません。

このような記事を書いている人は、その内容について、何の責任も持っていないからです

記事をよく見てみると「結果については責任持てません」などと小さく書いてあることもあります。

実際には、先に説明したように、マイナンバー制度導入によって脱税がバレやすい環境になっているので、きちんと確定申告しておく方が安心です。

源泉徴収されている場合、確定申告したらお金が返ってくるケースもあるので、キャバ嬢をしているならば、必ず確定申告を行いましょう。

まとめ

今回は、キャバ嬢の確定申告について、解説しました。

キャバ嬢は、確定申告をして経費を差し引くと、お店から天引きされていた源泉徴収税額を還付してもらえることが多いです。

また、最近ではマイナンバー制度が導入されているので、申告をしないとバレてしまう可能性が高くなります。

脱税、不申告になると非常にリスクが高いですし、申告によってお金が返ってくる可能性もあるので、これまで確定申告していなかった方も、これからはきちんと申告するようにしましょう。

外部リンク
松本陽子(元弁護士) – 法スマート

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